民事信託・相続税

信託契約に書けば、死後の費用を債務控除できるのか
葬儀費用・法要費用・遺品整理費用の整理

委託者本人を受益者とする金銭信託で、
「死亡後の葬儀費用等の元手を確保する」ことを目的に置き、
その支出を信託契約の条項に定めた場合を題材にしています。
契約に書けば委託者の債務として確定し、債務控除できるのか。
受益者連続型かどうかで結論が変わるのか。
残余財産の評価上なら控除できるのか。
条文の構造にさかのぼって整理しています。

結論

信託契約に「死亡後の葬儀費用・法要費用・遺品整理費用を信託財産から支出する」と定めても、
それらが生前の契約によって確定した委託者の債務になることはなく、
相続税の債務控除の根拠にはならないと考えられます。

私法上「信託財産責任負担債務」に当たることと、
相続税法上「債務控除できる債務」であることは、
別々に判定される事柄です。

課税当局の明示

この点については、国税庁が公表している通達の趣旨説明に直接の記述があります。
信託財産責任負担債務の帰属を定めた通達(相続税法基本通達9の3-3)の趣旨説明は、
末尾で次のとおり述べています。

なお、信託財産責任負担債務であっても、相続開始の時において確実と認められないものについては、
相続税の債務控除の対象にならないことに留意する。

信託財産責任負担債務であることは、債務控除できることを意味しない。
これが出発点になります。

なぜ控除できないのか

第一の関門
これらの費用は委託者の死亡後に初めて発生する。
「相続開始の際現に存する」債務ではない。
第二の関門
相続開始時点で債権者も金額も未確定。
「確実と認められる」債務でもない。
第三の関門
法会に要する費用は、葬式費用としても
明文で除外されている。

信託契約は、受託者が何にいくら支出できるかという権限と使途を定めるものであって、
条項があること自体から、委託者に対する債務が発生するわけではありません。
実際に債務が生じるのは、受託者が葬儀社・寺院・遺品整理業者と契約した時点であり、
それは委託者の死亡後の出来事です。

ただし、葬式費用は信託と関係なく控除できる

葬式費用は、被相続人の債務としてではなく、
相続人等が実際に負担した費用として控除する仕組みです(相続税法13条1項2号)。
信託財産から支出しようと、相続人の手元の現金から支出しようと、
現実に負担していれば控除の対象になります。

信託の実益はここにある

信託の税務上の価値は、債務控除を上乗せすることではなく、
口座が凍結されずに資金をすぐ動かせること、
そして誰が負担するかを確実に固定できることにあります。
目的そのものは、この設計で十分に達成できます。

費用の種類債務控除葬式費用として根拠
葬儀費用不可相続税法13条1項2号、相基通13-4
法要(法会)費用不可不可相基通13-5(3)が明文で除外
遺品整理費用不可不可相基通13-4の各号に当たらない
生前の借入金相続開始の際現に存する債務

どの条文の場面かを、まず切り分ける

信託の課税を考えるとき、最初に確かめるべきなのは
「受益者連続型かどうか」ではありません。
受益者の死亡によって信託が続くのか、それとも終わるのかです。

信託が続く場合

受益者が死亡し、契約の定めによって次の受益者が受益権を取得する。
このとき次の受益者は、信託に関する権利を前の受益者から遺贈により取得したものとみなされます

相続税法9条の2第2項

あわせて同条6項により、信託財産に属する資産および負債を取得・承継したものとみなして相続税法が適用されます。
債務控除の規定が働く場面です。

信託が終わる場合

受益者の死亡によって信託が終了し、残余財産が帰属権利者に帰属する。
このとき帰属権利者は、残余財産を遺贈により取得したものとみなされます。

相続税法9条の2第4項

ここで注意すべきは、同条6項の適用がないことです。
6項が対象としているのは第1項から第3項までであり、第4項は含まれていません。

切り分けの規定は、条文の括弧書きにある

相続税法9条の2第2項
受益者等の存する信託について、適正な対価を負担せずに新たに当該信託の受益者等が存するに至つた場合(第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、…当該信託に関する権利を当該信託の受益者等であつた者から贈与(当該受益者等であつた者の死亡に基因して受益者等が存するに至つた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
括弧書きが、第2項と第4項の切り分けを行っています。
切り分けの基準は「受益者連続型かどうか」ではありません。
相続税法9条の2第6項
第一項から第三項までの規定により贈与又は遺贈により取得したものとみなされる信託に関する権利又は利益を取得した者は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を取得し、又は承継したものとみなして、この法律(第四十一条第二項を除く。)の規定を適用する。
「第一項から第三項まで」と明記されており、第4項は対象外です。
相続税法施行令1条の12第5項も、6項本文の準用先として9条の4・9条の5のみを掲げ、
9条の2第4項を掲げていません。書き落としではなく、意図された構造と考えられます。
実務上の含意

この構造は、納税者に不利に働く場面があります。
信託財産に借入金などの真正な債務があるとき、
受益者の死亡で信託を終了させる設計だと、
第4項の場面になるため負債を承継したものとみなす規定が働かず、
債務控除ができないおそれがあると指摘されています。

そのため実務では、委託者の死亡で信託を終了させず、次の受益者を指定して第2項の場面に乗せる設計が推奨されています。

債務控除の3つの関門

信託の枠組みに乗ったあと、実際に控除できるかどうかは
相続税法13条・14条・22条の要件で、あらためて判定されます。
信託であるかどうかは、この判定を緩めません。

関門1 相続開始の際に現に存する債務か(相続税法13条1項1号)

控除できるのは「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」です。
葬儀費用・法要費用・遺品整理費用は、いずれも死亡後に発生します。
契約書に書いてあることは、債務の存在を前倒しにする効果を持ちません。

対比として参考になるのが、国税庁の質疑応答事例です。
被相続人が雇用していた従業員を相続開始後に解雇し退職金を支払った場合、
支払が死亡後であっても控除が認められています。
理由は「生前の労務の対価であり、被相続人の債務として確実なもの」だからです。
発生原因が生前に存在していたかどうかが、分かれ目になります。

関門2 確実と認められる債務か(相続税法14条1項)

控除できる債務は「確実と認められるものに限る」とされています。
相基通14-1は、金額が確定していなくても存在が確実と認められるものについては、
相続開始当時の現況によって確実と認められる範囲の金額だけを控除するとしています。

ところが死後の費用は、金額が未確定であるだけでなく、
債権者も存在していません。誰にいくら支払うかは、遺族と受託者がこれから決めることです。
存在自体が確実と認められないため、この救済も及びません。

関門3 葬式費用としても控除できるか(相基通13-4・13-5)

葬式費用は債務ではありませんが、相続税法13条1項2号により控除できます。
ただし範囲は通達で限定されています。

相基通13-5(葬式費用でないもの)
(1) 香典返戻費用
(2) 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
(3) 法会に要する費用
(4) 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

法要(法会)費用は、明文で除外されています。
遺品整理費用は13-5に列挙されていませんが、
13-4が定める葬式費用の範囲(埋葬・火葬・納骨、葬式の前後に生じた通常の出費など)に当たらず、
相続財産に関する費用は債務控除の対象にならないとする相基通13-2の趣旨からも、
控除は難しいと考えられます。

誰が控除できるかにも制限がある

相続税法13条1項が対象とするのは、
「相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。)により財産を取得した者」です。

次の受益者や帰属権利者に相続人でない者(孫、甥姪、内縁の配偶者など)を指定すると、
この枠から外れ、債務控除も葬式費用の控除も一切できなくなります。
設計を変えるときの落とし穴です。

「残余財産の評価上なら控除できる」という理屈は通るか

信託が終了する設計であれば、帰属権利者が取得するのは残余財産です。
信託法上、残余財産は清算受託者が信託債権に係る債務などを弁済した後に残る財産とされています。
そうであれば、契約に定めた費用は信託債権に係る債務に当たり、
債務控除ではなく残余財産を評価する段階で差し引けるのではないか。
こうした整理が成り立つかどうかが、実務上の関心事になります。

結論としては、この理屈は通らないと考えられます。
理由は、相続税の課税価格をいつの時点で測るかという、評価の原則にあります。

課税価格は「取得の時」で測る

相続税法22条
この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による

相続税法9条の2第4項の課税時期は「給付を受けるべき、又は帰属すべき者となった時」です。
帰属権利者は、信託が終了した時点で当然に残余財産の給付請求権を取得します(信託法183条1項)。
その時点の時価で評価される以上、まだ発生していない費用は財産の価額を減らしません

2つの「残余財産」を混同しない

信託法上の残余財産は、清算が進んで債務を弁済した後に残る、結果としての金額です。
相続税法上の課税価格は、権利を取得した時点で測る金額です。
前者から後者を導くことはできません。

そもそも、その時点に「信託債権」は存在していない

清算受託者が弁済すべき信託債権に係る債務(信託法177条2号)も、
受益者の死亡時点では発生していません。
信託法の枠内で見ても、その時点の残余財産から死後の費用を差し引く根拠は見当たらないことになります。

なお、信託法に「残余財産」の定義規定は置かれていません。
177条と181条の構造から導かれる理解です。
また181条ただし書により、弁済に必要な財産を留保すれば弁済前でも残余財産を給付できるため、
「弁済が済むまで残余財産は確定しない」という理解も、そのままでは正確ではありません。

設計を変えても、結論は変わらない

設計適用条文死後の費用の控除真正な債務の控除
次の受益者を指定して信託を存続させる9条の2第2項・6項できないできる
死亡により信託を終了させる9条の2第4項できないできないおそれ

死後の費用を控除できない点は、どちらの設計でも同じです。
違いが出るのは、信託財産に借入金などの真正な債務があるときで、
終了させる設計のほうが不利になる可能性があります。
控除の範囲を広げようとして設計を変えることには、実益がないと考えられます。

「何でもありになるのではないか」という懸念について

契約に書けば何でも控除できるのなら、制度が崩れてしまう。
この懸念はもっともですが、そもそも「何でもあり」の状態には至りません。

歯止めは否認規定ではなく、条文の要件そのものにあります。
「相続開始の際現に存するもの」「確実と認められるもの」「取得の時における時価」。
この3つが独立して働くため、契約で将来の支出を定めても、
相続開始時点で債権者も金額も存在しない以上、要件を満たしません。

なお、相続税法64条1項の行為計算否認は同族会社等を対象とするもので、
法人が介在しない個人の民事信託には直接適用されません。
相続税法に、個人の民事信託を対象とする一般的な否認規定は置かれていません。
だからこそ、条文の要件と事実認定の段階で決着する構造になっていると考えられます。

短期間で終了する信託は、受益者連続型に当たらないのか

次の受益者を指定しながら、受益者の死亡後まもなく信託が終了する設計があります。
すぐ終わることが決まっているのに、受益者連続型信託に該当するのか。
自然な疑問ですが、条文を読むと論理は逆になります。

期間が短いことは、該当性を左右しません。
むしろ「短い期間で終了する」という制約こそ、
相続税法9条の3第1項がないものとみなす対象そのものです。

相続税法9条の3第1項(抜粋)
受益者連続型信託…に関する権利…で当該受益者連続型信託の利益を受ける期間の制限その他の当該受益者連続型信託に関する権利の価値に作用する要因としての制約が付されているものについては、当該制約は、付されていないものとみなす
「利益を受ける期間の制限」が明文で挙がっています。
短期間で終了することは、非該当の理由ではなく、この規定が用意されている理由です。

信託法91条の「30年」は成立要件ではない

信託法91条
受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。
この条文が定めているのは、受益者連続の定めの効力がどこまで及ぶかという終期です。
信託の存続期間の上限でも、まして下限でもありません。
要件は「そうした定めがあること」だけであり、期間の長短は問われていません。

仮に91条を外れても、政令が拾う

相続税法施行令1条の8は、受益者連続型信託の範囲を3号構成で定めています。

内容
1号受益者等の死亡その他の事由により権利が消滅し、他の者が新たな権利を取得する旨の定めのある信託(信託法91条の信託を除く)
2号受益者等の死亡その他の事由により、権利が他の者に移転する旨の定めのある信託
3号信託法91条・89条1項の信託および前2号以外で、これらに類するもの

1号は91条の信託を除いたうえで同種の定めを拾い、3号が包括的な受け皿になっています。
受益者連続型から外れる余地は乏しい構造です。

ただし、該当することの実益は小さい

受益権が元本と収益に分かれていない単層の金銭信託であれば、
受益者連続型に該当しなくても、財産評価基本通達202(1)により
課税時期における信託財産の価額で評価されます。
9条の3があってもなくても、評価額は変わりません。

該当することで生じるのは、期間が短いことを理由に評価を下げる主張が明文で封じられるという効果です。
相基通9の3-1(1)も、受益者連続型信託に関する権利の全部を取得した場合の価額を
信託財産の全部の価額としています。

「信託財産責任負担債務を定める条項」という理解の危うさ

死後の費用の支出を定めた条項を、
「信託財産責任負担債務の範囲を定めた条項」と位置づける説明を見かけます。
結論に影響はしませんが、条文の建て付けとしては正確ではありません。

信託行為の定めで取り込めるのは、限られた場面だけ

信託法21条1項3号
信託前に生じた委託者に対する債権であって、当該債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする旨の信託行為の定めがあるもの
委託者に対する債権を、契約の定めによって信託財産責任負担債務に取り込めるのはこの号です。
ただし対象は「信託前に生じた委託者に対する債権」に限られています。
死亡後に発生する葬儀費用等は、これに当たりません。

実際には、支出の段階で別の号により成立する

契約の条項
信託の目的と、受託者が何に支出できるかという権限の範囲を画定する。
受託者の行為
権限の範囲内で、葬儀社・寺院・遺品整理業者と契約する。
債務の成立
信託法21条1項5号(受託者の権限に属する行為によって生じた権利)
または9号(信託事務の処理について生じた権利)として成立する。
条項を削る必要はない

条項そのものは有効に機能します。
受託者が死後の費用を支出する権限の根拠として、必要な定めです。
変えるべきなのは条項ではなく、その条項が何をしているかの説明です。

「債務を創設する条項」ではなく「信託の目的と受託者の権限を画定する条項」。
こう整理しておくと、他の場面(委託者の借入債務を信託財産責任負担債務とする設計など)で
誤った助言につながることを避けられます。

設計上、あわせて確認しておきたい点

債務控除の論点とは別に、この型の信託には確認しておくべき点がいくつかあります。

1
帰属権利者を、次の受益者と一致させているか

次の受益者と帰属権利者が別人だと、二重に課税される可能性があります。

次の受益者には、信託財産の全部の価額で相続税が課されます。
その後に信託が終了し、別の人が残余財産を取得すると、
相続税法9条の2第4項により、その人は受益者から贈与により取得したものとみなされます

同項の括弧書き(終了直前に受益者等であった場合には、その権利に相当するものを除く)が適用されるのは、
残余財産を取得する人自身が終了直前の受益者等であった場合に限られるためです。
同一の財産に相続税と贈与税が連続することになり、これを調整する規定は見当たりません。

相基通9の3-2は二重課税が生じうることを認めていますが、
手当てされているのは法人株式の場面に限られており、個人間については手当てがありません。
帰属権利者を次の受益者と一致させることで、この問題は解消できると考えられます。

2
受託者が受益者を兼ねると、1年で強制的に終了する

信託法163条2号は、受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき、
信託は終了すると定めています。

この条文には「信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる」という規定が置かれていません。
直後の164条3項には置かれていることとの対比から、通説上、契約で延長も排除もできないと解されています。

結果として、この型の信託は必然的に1年以内に終了します。
長期の資産管理には使えず、用途が死後一定期間の資金確保に限定される点を、
依頼者に説明しておく必要があります。

3
終了時期を特定できる書き方になっているか

「遅くとも1年以内に終了する」という文言だけでは、終了の時期が特定できません。

終了時期は、清算の開始時期、清算受託者の職務、最終計算の基準時を画するものです。
上記2の1年ルールをそのまま使うのか、それより早い具体的な終了事由を定めるのかを、
書き分けておくのが安全です。

4
目的の達成による早期終了と、条項の関係

信託法163条1号は、信託の目的を達成したときに信託は終了すると定めています。
目的が「死亡後の葬儀費用等の元手確保」であれば、その支出が完了した時点で
目的達成として終了する可能性があります。

1年の定めより先に終了しうるため、終了事由相互の関係を整理しておくと安全です。

5
受託者と受益者が同一人となる期間の監督

信託法8条は「受益者として信託の利益を享受する場合を除き」と定めているため、
受託者が受益者を兼ねること自体は違反ではありません。

ただし忠実義務(30条)や利益相反行為の制限(31条)は、
受益者の承認が自己承認になるため、実質的に機能しなくなります。
信託監督人(131条)の設置を検討する余地があります。

6
委託者の地位を承継させない定めがあるか

契約信託では、委託者の地位は原則として相続により承継されます。
承継した相続人が帰属権利者に指定されている場合などには、
特定委託者として課税対象になる可能性があります(相基通9の2-2)。

委託者の地位を承継させない旨の定めを置くのが、実務上一般的です。

7
遺留分への配慮

一人に信託財産が集中する設計は、遺留分侵害額請求の対象となりえます。

東京地裁平成30年9月12日判決は、遺留分制度を潜脱する意図を認定して、
信託契約の一部を公序良俗違反により無効としています。
金銭のみの小規模な信託であれば実害は限定的と考えられますが、
設計思想として留意する価値があります。

目的そのものに立ち返る

死亡後の資金確保という目的だけであれば、
生命保険の死亡保険金の非課税枠を併用するほうが、税務上は明確な効果があります
(相続税法12条1項6号。相続人が取得した場合に500万円×法定相続人の数)。

信託は生前の金銭管理、保険は死後資金の非課税確保という役割分担が、
素直な組み立てと考えられます。

なお、生命保険金の非課税規定は、公益信託に関する法律(令和6年法律第30号。令和8年4月1日施行)に伴う号の繰下げにより、
現在は12条1項6号です(改正前は5号)。既存の解説書には5号表記のままのものが多いため、引用の際は注意が必要です。

墓所・祭具は相続税法12条1項2号の非課税財産ですが、
生前に購入した墓碑の未払代金は債務控除できません(相続税法13条3項、相基通13-6)。
生前に取得して代金を完済しておく必要があります。

根拠条文・通達の一覧

相続税法

条文内容
9条の2第2項新たに受益者等が存するに至った場合のみなし贈与・みなし遺贈。括弧書きで第4項の場面を除外
9条の2第4項信託終了時の残余財産の帰属。括弧書きで終了直前の受益者等の権利相当分を除外
9条の2第6項第1項から第3項までにより取得したとみなされる者は、資産及び負債を取得・承継したものとみなす
9条の3第1項受益者連続型信託の定義と、期間の制限等の制約を付されていないものとみなす特例
12条1項2号墓所・霊びょう・祭具の非課税
12条1項6号相続人が取得した死亡保険金の非課税(令和8年4月1日施行の号ずれ後。改正前は5号)
13条1項1号被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの
13条1項2号被相続人に係る葬式費用
13条3項非課税財産の取得等に係る債務は控除しない
14条1項控除すべき債務は確実と認められるものに限る
22条取得の時における時価による評価。控除すべき債務はその時の現況による
64条1項同族会社等の行為計算否認(個人の民事信託には直接適用されない)
施行令1条の8受益者連続型信託の範囲(3号構成)
施行令1条の12第5項9条の2第6項本文の準用先(9条の4・9条の5のみ)

相続税法基本通達・財産評価基本通達

通達内容
9の2-1受益者としての権利を現に有する者。帰属権利者は含まれない
9の2-2特定委託者の範囲
9の2-5信託が終了した場合に9条の2第4項の適用を受ける者
9の3-1受益者連続型信託に関する権利の価額。全部を取得した場合は信託財産の全部の価額
9の3-2受益者連続型信託の受益者が法人の場合の取扱い(二重課税の問題に言及)
9の3-3信託財産責任負担債務の帰属。趣旨説明に債務控除に関する留意記載あり
13-2相続財産に関する費用は13条1項1号の債務にならない
13-3その者の負担に属する部分の金額の意義(実際に負担する金額)
13-4葬式費用として控除できる範囲
13-5葬式費用でないもの((3)法会に要する費用)
13-6非課税財産に関する債務の控除
14-1確実な債務の判定(相続開始当時の現況による)
評基通202(1)元本と収益の受益者が同一人の場合、課税時期における信託財産の価額で評価

信託法

条文内容
2条9項信託財産責任負担債務の定義
8条受託者の利益享受の禁止(受益者として享受する場合を除く)
21条1項信託財産責任負担債務の範囲(3号・5号・9号)
26条受託者の権限の範囲
30条・31条忠実義務・利益相反行為の制限
91条受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例
131条信託監督人の選任
163条1号・2号・9号信託の終了事由(目的達成、受託者が受益権全部を1年保有、信託行為で定めた事由)
164条3項別段の定めの授権(163条との対比)
176条から184条清算(存続擬制、清算受託者の職務、給付の制限、残余財産の帰属、最終計算)

その他の参考資料

本ページは、一般的な論点整理を目的とした資料です。
実際の適用にあたっては、契約書の具体的な文言、事実関係、および最新の法令・通達をご確認のうえ、
個別にご判断ください。
条文番号は令和8年9月1日時点のものです。